今春の高校入試の概況(都立編②)

都立一般試験の出願傾向

 ①都立全般
 一般試験の最終応募倍率は1.29倍で前年度(1.39倍)より0.1ポイント下がっています。応募者が定員に達しなかった全日制の学校は、普通科25校(前年度8校)、専門学科28校41学科(同28校46学科)、総合学科は2校(同0校)となりました。
 男女合同募集の普通科の倍率は1.36倍で前年度(1.47倍)より0.11ポイントの大幅ダウンとなりました。コース制、単位制普通科においても倍率は下がり、普通科全体では1.34倍、前年度(1.45倍)から大幅に下がりました。
 専門学科では農業科は1.30倍で前年度(1.15倍)より0.15ポイント上がりました。ほかにも水産科、福祉科、理数科、体育科が上がっています。募集人員の3分の1を占める工業科は前年度の0.79倍から0.78倍へとダウン、商業科は1.02倍から0.98倍へダウン等、先に挙げた学科以外は全て応募倍率は下がっています。専門学科全体としては前年度の1.04倍から1.01倍へとダウンしました。また、総合学科でも前年度の1.33倍から1.25倍にダウンしました。

 ②高倍率になった高校
 男女合同となった学年生普通科でもっとも高い倍率になったのは、豊多摩で2.13倍でした。次いで前年度トップの豊島2.12倍、戸山2.09倍、日比谷2.00倍と続き、応募者数は500人を超えています。豊島は2021年に新校舎になって以降、倍率は2倍を超えています。
 単位制普通科の新宿は1.94倍と、4年ぶりに2倍を切りました。芦花が2.02倍でトップとなりました。同校は2年連続で2倍を超えています。総合学科のトップは杉並総合で1.69倍となりました。4年連続で応募者数が増えています。晴海総合は1.67倍に下がりはしましたが、応募者数は300人を超えており、厳しい入試となっています。

近隣の高校の状況

 日比谷(倍率2.00倍)は一般応募者507人で、前年度より10.5%の増加です。前年、同校の応募者数は100人以上減り、倍率が2倍を切りましたが、その反動があったように思われます。応募者数が500人を超えたのは全日制普通科の中では4校のみで、日比谷はそのうちの1つです。戸山(倍率2.09倍)は一般応募者526人(前年度より5.4%増)です。2年連続で応募者数が増えており、日比谷と同様に500人を超えています。青山(倍率1.96倍)は一般応募者433人で、前年度と比べ5.5%の減でした。隔年現象になりつつあります。小山台や豊多摩などに流れた可能性があります。
 旧6学区トップ校の小松川(倍率1.19倍)は一般応募者300人(前年度より6.5%減)で、こちらも隔年現象になりつつあります。三田(倍率1.74倍)は21年度から応募者数が減っています。城東(倍率1.48倍)は前年度学級増で、今年度は学級数を元に戻した形での入試でした。校舎の新調の影響か、前年度は500人を超える応募数でしたが、今年度はおそらくその反動があったと思われ、374人(前年度より31%の大幅減)となりました。上野(倍率1.91倍)は10人減ではありますが、それでも481人の応募があり、19年度からずっと1.8倍以上の応募倍率を維持しています。江戸川(倍率1.47倍)は23年度まで応募者数を増やしていましたが、今年度は14.1%減の372人です。前年度の高倍率(1.71倍)が敬遠されたか、深川や江北へと流れた可能性があります。その深川(倍率1.81倍)は5.3%増の335人、江北は7.5%増の415人の応募者数でした。江北(倍率1.65倍)は墨田川からの移動もあったと思われます。
 本所(倍率1.51倍)は前年度が高倍率(2.01倍)だったこと、20年度以降応募者が増え続けたこともあっての反動か、今年度は24.8%の大幅減で285人となりました。小岩(倍率1.64倍)は23年度に過去7年間で最も高い応募倍率になり、それが敬遠されたのか前年度に約40人減で、今年度はさらに微減して466人となりました。竹台(倍率1.48倍)は2021年に新校舎となり、昨年3月には新グラウンドが完成しました。21年度から応募者は増え続けていましたが、今年度は学級減の影響もあったのか51人減って229人でした。篠崎(倍率0.84倍)は80人の応募者減で定員割れになってしまいました。近隣私立の関東第一への流れがあったと思われます。南葛飾(倍率1.45倍)は2023年度に一時1.13倍に落ち込んだものの、前年度と今年度は1.4倍台に倍率を戻しています。偏差値40以下の学力帯では唯一応募者が増えている学校です。 ※私立高校の概況については次号に続きます。